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7話
「むっちゃん、どこに?」
「とりあえず…どっかに‼んーっ‼」
むつと源太は肩で人形を押しやり、どこかに向かおうとしている。それを見て行き先は分からないが、颯介と冬四郎がむつの前に立った。
源太と共に道を作りながら、進んでいく様は、ラッシュ時の電車内を無理矢理歩いていくのと似ていた。
むつは抜刀すると、颯介と冬四郎と源太の邪魔になる人形の腕を切り落としている。
かなりの数の人形が押し寄せてきては居たが、少しずつ前進は出来ている。と、そこで、源太が颯介と冬四郎を引っ張って角を曲がった。祐斗と西原が曲がるのを確認したむつは、式神を床に落として少し離れた。
むくむくと大きくなった式神が、廊下を塞いでくれたおかげで、人形たちがついてくる事はなかった。
「時間稼ぎにしかなんないよ」
むつはそう言うと、指先に青白い炎を浮かべて歩き出した。




