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7話
「源太‼来てっ」
呼ばれた源太は、冬四郎の側まできたが下からむつを見上げるばかりだった。むつは、指を動かして登れと合図している。
源太はむつと冬四郎を見比べた結果、ぱんっと手を合わせて冬四郎に頭を下げると、冬四郎の太股に足をかけた。
人形が冬四郎に近付かないように、奮闘していた西原は、冬四郎に冬四郎の姿をした源太がよじ登っていくのを不思議そうに見ていた。
「すんません、まじでっ‼」
冬四郎に謝りつつも、源太はむつと同じく肩まで登った。そして、むつと共に廊下を見回した。そして、ぼそぼそと何かを話している。その間、冬四郎はよろけないように必死だった。
「颯介さんっ祐斗‼こっちに‼」
むつは2人に向かって叫ぶと、冬四郎の肩の上からすとんっと下りた。源太とがしゃんっと音を立てて飛び下りた。




