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7話
「もーっ‼なら、この状況どうすんのよ」
むつは西原が持っていた日本刀の柄を持つと、鞘を西原に持たせたまま抜刀して、人形をばっさりと切った。
「3人ともこのまんまじゃ、数で負けるよ?息も上がってるんだし」
「あ、それは確かに」
祐斗は頷いた。祐斗も体力的に疲れが出てきているのか、人形に力で負けている。むつは、祐斗の襟首を掴んで後退させると、人形の腰の辺りを切り、上半身と下半身に分けた。だが、それでも人形は動こうともがいている。
「ゴキブリっすね」
その様子を見て祐斗は呟いた。むつと西原、源太が3人と合流したものの、人形はじりじりと間合いを詰めるように近付いてきている。
「逃げ損ねた」
はぁっと溜め息まじりにむつが言った。
「とし君、とし君」
むつは、西原を手招きして呼ぶと日本刀を鞘におさめた。そして、両手を広げて見せた。
「何だよ?こんな時に抱き締めてってか?」




