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7話
手のひらで包むようにして、息を吹き掛け床に向かって落とした。それらの紙は、床に辿り着くとすっくと立ち上がり、そして、むくむくと大きくなった。
バリケードのように、式神同士が腕を組んで人形たちが来ないようにしている。その間にむつと西原は源太と共に颯介たちの所まで走った。だが、こちらも囲まれていて易々とは通しては貰えそうにない。
むつは手にした札で人形を凪ぎ払いながら、颯介たちの所に向かっていく。西原も日本刀を鞘におさめたままで、振るっている。
「颯介さんっ‼」
「むっちゃん、大丈夫?吹っ飛んでたけど」
「一時撤退って案が出てるけど、どう?」
「撤退って、どこにっすか?」
祐斗は人形の腕を掴んで、押し負けないようにしながら、むつの方を振り返った。
「分かんない。燃やし尽くす案もある」
「火事になるだろ‼さっきのもまぁまぁ燃えたじゃないか。報知器作動しなかったけど」
冬四郎が人形を力いっぱい殴り付けていた。素手しか戦う手段の無い颯介も祐斗も冬四郎も、すでに息があがり汗をかいていた。




