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2話
階段で5階まで戻る気はないのか、むつはエレベータの方に向かっていく。西原も一緒にエレベータに乗り、よろず屋に戻っていった。
ばんっとむつが乱暴にドアを開けて入ると、颯介がコーヒーを立ったまま飲みながら驚いたような顔をしていた。口に含んでいたコーヒーをようやく、飲み下して少しむせていた。
「お、おはようっ…」
「おはよ…ちょっと、ごめん」
むつは颯介の空いてる手を取ると、手首に親指を当てた。西原は何をしているのかすぐに分かった。首を傾げ、むつは西原の手を取ると同じようにした。
「むっちゃんと西原さん?どうしたんですか、朝早くから」
「ちょっと、用事のついでに。むつにおはぎの相談を」
「おはぎ?」
颯介は何が何だか分からない様子だった。




