7話
ペンライトを放さずに、右往左往している源太に群がる人形たちを今度はむつと西原が後ろから掴んで力任せに、引っ張って床に倒した。
「むつ、よく無事だったな…って、ちょっと煤けてるぞ」
冬四郎の姿をした源太が、手を伸ばしてむつの頬の黒くなっている所を擦った。むつは、鬱陶しそうに手を払った。
「着物がやっぱり邪魔だし、焼いちまえよ?」
西原が言うと、むつはポケットから札を出したが、結局は投げなかった。
「源太が焼けちゃうかも」
「そこは、腕の見せ所だろ?コントロール出来ないのか?」
「簡単に言うけど、さぁっ‼」
むつは近付いてきた人形の腹を思いきり蹴った。そして、倒れた人形を素早く抜いた刀で切った。
「数が多いから…さっきの炎くらいじゃ済まなくなるよ?それに、向こうの3人と源太を」
「さっきの炎は、消えたか」
西原は振り返って、後ろを確認しつつ人形の腕を掴むと膝で蹴りあげて腕を折り、強烈な回し蹴りで胴体部分も折った。
「源太っ‼」
むつと西原が側に居たにも関わらず、仲間であるはずの源太に狙いを定めたのか人形たちが、わらわらとたかっている。
「とりあえず、一時撤退のが良くないか?数が多すぎて、山上さん探す所じゃねえよ」




