341/410
7話
「こんばんは。いくら、興味があっても閉館後に来るのはいけないわ。それにこの前みたいに裏側に忍び込むのもね」
むつの持っていたペンライトは、その女性の顔を照らしていた。
「こんばんは。ごめんなさい、けどどうしても外せない用事があったもんですから」
「あら、用事?ここにかしら?」
にんまりと笑う女性の顔をしっかりと見ながら、微笑みを浮かべたむつは頷いた。
「先を急ぎますので…って言っても通してはくれない感じですね?」
「そうね。折角…あなたは禿と契約してるけど他の人はそうでもないし、契約せずとも身体が手に入りそうですもの。それにしても、源太。その顔は何?そっちの背の高い人の方が男前なのに」
「見る目あるなぁ」
女性が頬に手をあてて、がっかりしたように言うと、むつはうんうんと頷いた。後ろでは、冬四郎がむっとした顔をしていたが、颯介はにんまりと笑っていた。




