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7話
むつのペンライトが照らしている先から、こつんこつんと足音が聞こえてきた。廊下にこだましているせいか、凄く遠くのようにも近くのようにも聞こえた。
「あつい…」
源太がむつの前に立ち、ゆっくり歩いていく。近付いてくる足音は、源太に気付いたのか、少しだけ歩みを止めたが、また近付いてきた。
「知り合いなんだ?」
「何でっ…来ちゃうかな」
いつの間にか隣に並んでいたむつを見て、源太が溜め息をついた。
「あたしの知ってる人でもあるから」
「知ってる人?」
「受付の人、でしょ?」
むつがそう言うと足音は止まった。むつは持っていたペンライトで、足音を立てていた靴を照らし、ゆっくりとライトを上に向けていった。




