7話
「そうなんだよね。結局さ、願いが叶っても自分が死ぬなら意味ないよね」
「他人が死んでもいいから叶えたい事があったとしたら、凄い事っすよね」
「物凄い欲の皮の突っ張った人だね」
むつ、祐斗、颯介はすでに沼井の妻に対しては全くと言ってたいいほどに、良い印象は持っていないようだった。
「あたし、地球が滅ぶって言われても颯介さんと祐斗を身代わりにしたくないな。自分がなるのも、嫌かな?なんなら、その時に一緒に死んで欲しいわ」
くっくっくとむつは笑った。
「むつさん、あれっすよ。そういう事って、西原さんとか宮前さんには言わない方が良いっすよ」
「確かに。あたしと一緒に死んで、なんてある種の殺し文句っぽいから」
祐斗と颯介が言うと、むつは首を傾げつつ、うん?と曖昧に返事をした。
「ま、それはさておきて…あっ‼」
「何すか?」
「源太がさ、劇場が人形ばっかりになったって言ってたの覚えてる?あれって…どういう事なんだろ」
「西原さんに電話して、源太さんに聞いてみますか?」
祐斗が携帯を取り出した。
「ううん…もうすぐ着くし。着いてから聞けばいいよ。彼にも居て貰った方が何かと良さそうだし」
そう言うと、むつはシートにこつんと頭をつけて、顔だけを前に向けた。夜中で道が空いていたからか、もう劇場は目の前だった。




