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7話
颯介の車にむつと祐斗。冬四郎の車に西原と源太が乗り込み、劇場に向かった。源太はむつと一緒に颯介の方に乗りたがったが、理由は分からないがむつが嫌がった。
車に揺られている間、むつは黙って外をぼんやりと眺めていた。沈黙に耐えられないのか、祐斗はそわそわと落ち着きがない。
「どーしたの?」
助手席に座っていたむつが、横を向くようにして身体の位置をずらしていた。
「あの…えっと…」
いきなり話し掛けられると思っていなかった祐斗は、少し慌てて何か言わなきゃと考えた。
「前、むつさん閉じ込められた時って外から入れなかったんすよ。まぁ鍵かかってたのかもですけど…今回はどうやって入るつもりですか?」
「鍵だけなら、式神を入れて開けさせるけど…どうだろうね。すんなり入れたらいいけど、入れても怖いかな」
むつは布に包んだ日本刀に、頬を乗せるようにして少しだけ後部座席の方を向いていた。
 




