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7話
しばらくは、誰も口を聞かなかった。西原がコーヒーのおかわりをいれに行ったり、冬四郎は2本目のタバコをくわえたままで、上を向いていたり、颯介は腕を組んでじっと一点を見ていたり、それぞれに何か考え事をしているようだった。
そんな気まずい雰囲気を察しているのか、源太も何も言わずにじっと座っていた。
はぁーっと声に出して溜め息をついたむつは、こつんっと冬四郎の足の上に頭を置いた。
「…ねぇ、イライラしてきた」
「だろうな」
冬四郎は苦笑いを浮かべて、むつの長い三つ編みにされた髪を撫でている。
「自分で撒いた種を他人に刈らせようってか?しろーちゃんの元上司はくそったれだ」
「嫌な事を他人に押し付けて、のしあがったタイプの人間だからな」
「源太、どうしたら良いと思う?」
「むつは…何がしたいんだ?何の為に動いてるんだ?」




