6話
「ふーん?不便ね。…で、何しに来たの?」
「だから、ちょっかいかけに来たんだって」
「………」
「そんな睨むなって。まぁ、あれだ」
むつがじっと見ていると、人形は慌てたように手を振った。そして、うーんと唸りながら首を傾げた。
「そっちの男の身体が欲しかったんだよな。俺、男だし?おばさん曰く良い男らしいしな」
「おばさんって誰よ?」
「沼井かずえだよ。あいつが、宮前さんかっこいいとか言ってたから、その宮前さんとやらと契約出来たらなーって思ってたんだけど、よくよく調べてたらむつって子。あんだだろ?のが可愛くて良いなーって思ってさ。やっぱ、おっさんより若い子のが良いじゃん?」
むつは、冬四郎と颯介の方を見た。2人とも、この人形の言っている事があまり飲み込めていないようだった。むつもきっと、冬四郎と颯介と同じような顔をしていたのだろう。
「え?何?だから、言ってるだろ?ちょっかいかけたかった、って。別に何つーか、身体がどうこうって無いな。そりゃ最初は、俺が迫ってむつが俺を受け入れるってなれば、そのまんま上手い事やって身体手に入れたら、自由だし?ラッキーとか思ったけど…そんな上手くいかないよな。嫌がられるとは思わなかったしな」
コーヒーをいれて持ってきた西原が、うんうんと頷く人形の頭をぱしんっと叩いた。
「お前、結局何なんだ?何しに来たんだよ。わざわざ、宮前さんに成りすまして」
「感覚的には悪戯?遊びに来た感じだな」
「威張るな」
西原はもう1度、人形の頭を叩いた。




