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6話
むつはくすくすと笑っていた。そして、ソファーに手をついてゆっくり立ち上がった。少しだけ、ふらついた時に冬四郎が支えようと手を伸ばしたが、やんわりと大丈夫だと断った。だが、その冬四郎の方を向くとポケットをぱんぱんと叩いた。
「な、何だ?」
「あった」
ポケットに手を突っ込んで、ジッポライターを取り出した。むつは、かちんっと蓋を開けて火をつけた。
「何するの?」
颯介が心配そうにむつを見ていた。
「何か悪いやつじゃなさそうだし、焼いてあげようかと」
「え‼何でだよ‼キスしただけだろ‼」
人形に近寄った祐斗が、冬四郎の姿をした人形の頭をぱしんっと叩いた。
「まだ有意義な話も出来てないのに?」
「むつ、こいつからある程度の事は聞き出した方が良いんじゃないか?」
冬四郎と西原が、むつを止めようとライターを取り上げようとしたが、むつはさっと後ろ手に隠した。そして、人形の方に近付いた。
「マンション火災が起きるだろ辞めろって」
西原が止めるのも聞かずに、むつは人形を縛っている紐を引っ張るとそこに火をつけた。あっという間に火は、紐を焼いていく。




