6話
「ねぇ、そろそろ良い?あたし寝るよ?」
偽者の胸ぐらを掴んで、文句を言っていた冬四郎、颯介、祐斗、西原は眠そうなむつの声を聞き振り返った。
むつはソファーに寝転んで、欠伸をしている。オレンジジュースも薄いコーヒーもいつの間にか、空になっていた。
「あ、ごめん、ごめん」
冬四郎が手を放すと偽者は、がしゃんっと音を立てて床に落ちた。だが、痛がる様子はない。
「痛くないんだ?」
「そりゃあな、人形だし神経があるわけじゃないからな。痛覚もくそもない」
威張ったようにいう偽者を見て、むつは苦笑いを浮かべた。のそのそと起き上がり、偽者の側に寄った。
「ねぇ、あたしの契約相手は禿よ?何で来たの?禿と契約を完了させる為?」
「そんな事するわけないだろ。俺に乗り換えないかと思ってな。あんた、普通の人と違うだろ?さっきの札も凄かったな」
「乗り換えなんて出来るの?」
「分かんない。やってみる?」
「いや、やらん」
むつは即答すると立ち上がった。
「こいつ、もしかしたらちょっとバカ?」
4人に言うと、4人とも思っていたらしく、頷いた。バカにされた偽者は、冬四郎の姿でばたばたと暴れた。




