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6話
「誰?何でしろーちゃんの姿をしてるの?」
むつは颯介と西原に庇われるようにしながらも、真っ直ぐに冬四郎を見ている。
「何言ってるんだ?」
「しろーちゃんが、鍵忘れるわけない。車の鍵と同じキーケースにつけてるもん…それに帰ってくるの早すぎない?あとさ、しろーちゃんってジャケット前閉めないよ?タイピンもしないし」
むつに指摘をされると、冬四郎はジャケットのボタンとタイピンを外した。
「これで良いか?」
「うん…あとさ、本物はもうすこぅしだけ細いよ。最近、ダイエットしてるから」
冬四郎は顎を撫でながら、困ったように笑っていた。だが、その目は笑っていない。
「お前は何だ?」
「お前そこ、何だ?何故、自分のために契約を結ばない?ふーん…この男が好きだと聞いたからちょっかい、かけに来たのに意味がない」
「あー?その姿で来たら、あたしが契約を結ぶとでも思ったわけ?無駄な事させて悪かったかしら?」




