6話
そんな話をしていると、玄関のチャイムが鳴った。コーヒーを口に含んでいた西原は、ごっくんと飲み込むと少しむせた。
祐斗はすくすくと笑いながら、玄関に向かいドアスコープを覗いた。
「噂をすればですよ」
そう言って、鍵を開けた。
祐斗が玄関の鍵を開けるのと同時くらいに、むつが部屋から出てきた。眩しいのか、目を細めていた。
「チャイムで起きちゃった?宮前さん帰ってきたみたいだよ」
むつは少し首を傾げて、人差し指を口に当てて静かにするように颯介と西原に言った。そっとドアを閉めると、颯介の後ろに隠れた。
祐斗は冬四郎と何かを話ながら戻ってきた。冬四郎はむつの部屋をちらっと見ると、そっとドアを開けて入っていった。そして、むつが居ないと分かるとすぐに出てきた。
「むつは?」
「え?居ないんですか?寝てるはずですよ」
祐斗が少し慌てたように颯介と西原を見た。2人は、むつがどこにいるか知っているだけに落ち着いていた。
「むつは?」
「その前に、どちら様で?」
颯介が目を細めて、低い声で聞いた。
「は?何言ってるんですか」
冬四郎が驚いたように言った。祐斗も颯介がどうして、そんな事を言うのか分からず驚いていた。
「何言ってんすか?宮前さんじゃないですか」




