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6話
颯介と祐斗が黙りこんで、廊下の椅子に座っていると看護師がやってきて、むつが居る病室に入り、すぐに出てきた。点滴液の袋を持っていたので、点滴が終わったのかもしれない。だが、颯介も祐斗も中に入ろうとはしなかった。
しばらくして、冬四郎と西原が一緒にやってきた。祐斗は立ち上がり、2人に会釈をすると藤原を呼びに行った。すぐにやってきた藤原は、Tシャツの上に白衣だけを着ていた。
「お待たせしました…えーっと、むつさんのご家族の方は?」
「わたしです」
冬四郎が言うと、藤原は冬四郎を連れてむつの居る病室に入っていった。
「あれ、西原さん…宮前さんが家族ですって言ってるのに驚かないんですね」
祐斗が、聞くと西原は頷いた。
「昨日、むつから聞いたからな」
西原も椅子に座ると、はぁっと深い溜め息をついた。そして、じっと冬四郎と藤原が入っていった部屋を見ていた。




