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1話
「宮前君が向こうに気を取られてる間にね」
篠田が意地悪そうに笑った。冬四郎は、苦々しく何度か小刻みに頷いた。
「ぜーったいあの2人先に出ますよ。つけましょう‼」
がばっと起き上がった西原は、強い意思を持って、だが、小声でそう言った。それには、冬四郎も篠田も笑うしかなかった。
「まかれるって。現役警官とむつさんだよ?2人とも手強いと思うなぁ」
尾行をする事に対しては反対ではないのか、篠田はうーんと唸っていた。
「ですよねぇ」
そして、西原はぐいっとロングアイランド・アイスティーの3杯目を呑み干した。
「西原君、お水貰おうか?」
「ぜんっぜん、大丈夫っすよ」
「全然、大丈夫じゃないよ」
意外な声に3人は振り向いた。むつが何故か、氷水を乗せた盆を持ち立っていた。
「むつさん…どうして?何してるんですか?」
「西原先輩がべろべろっぽいからお水貰って来たんです。ほら、混んできて忙しそうですし」
冬四郎、篠田の前に氷水を置きむつは西原の隣に座った。そして、西原には手渡しで氷水を渡した。
「はい、飲みなさい」
「…はい。ありがとうございます」




