6話
「さっきから、何が気掛かりなんだ?俺に何かあるなら、はっきり言って貰った方が良いんだけどな」
冬四郎が真剣な目をして、西原をじっと見ている。西原は何を思ったのか、座り直して正座をして冬四郎の方を向いた。
「…昨夜、聞きました。義理の兄弟だって事を。それで、それを知った事を宮前さんに黙ってるのはどうかと思って」
真剣な顔を突き合わせている冬四郎と西原を見ながら、むつはぼんやりとこういう時は、かっこよく見えるよなと思っていた。
「何だ…そんな事か。なら、警視正の事も聞いてるかな?周りには黙っててくれる?まぁ俺はあの人と名字が同じだから、あれだけど…むつは玉奥を名乗ってるわけだしさ」
「はい。それは勿論です。ただ…」
「聞いて後悔した?気まずいよな、そりゃあ…」
冬四郎は最後まで言わなかったが、ちらっとむつの方を見た。むつも何となく察したのか、布団から少しだか顔を上げた。
「気まずいのもありますけど…2人が仲良いのも、宮前さんがむつを見てるのも何か納得出来たような、出来ないような」
「どっちだよ」
「いえ、はい…どっちなんでしょう。よく分からないんですが。すみませんでした」
西原は床に手をつくと、額が床につきそうなくらい頭を下げた。冬四郎は驚いたような顔をしていたが、特に何も言わずにむつの方を見た。




