6話
むつはくず湯を作って戻ってくると、冬四郎と西原の間に座った。
「颯介さん、そっちで客が入れる方の映像チェックして。何か映ってたら教えて」
「分かった…特になさそうな気もするけど」
パソコンを足の間に挟んで、むつはくず湯を飲みながら、映像をチェックしていく。足の間に挟んでいるせいか、ぐらぐらと揺れている。
冬四郎が取り上げると、組んでいた足の上に置いて、むつと西原で見えるように角度を調節した。
「ありがと」
膝を抱えるようにして座りむつは、くず湯を飲むのを忘れたようにじっと画面に見いっていた。
「これ…あたししか映ってないの?何かがちで忍び込んだ悪いヤツみたいになってない?しろーちゃん倍速にして遅い」
言われた冬四郎は文句も言わずに、映像を早送りにしたがむつしか映っていない。夕方になり、夜になり、朝になって一旦映像は途切れた。そして、次に映ったら時には職員が出社してきたのか、ぱらぱらと人があるいてるのが見えた。
「違うカメラの映像にして」
他のカメラの映像もオナジヨウナものだった。青白い炎とむつの姿しか映っていない。倍速にして見ていくが、他の人やむつが追ったはずの山上と女性の姿も映っていない。
あまり収穫が無さそうだった。




