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6話
むつはパソコンから視線を西原に向けた。
「あ?言わなかったっけか?俺、祐斗君と道場行っててさ。祐斗君を送ってる途中で湯野さんから祐斗君に連絡あったから一緒に来たんだよ」
「…何で?」
「何でって…」
「何かあった時の為に、居て貰えたら心強いかと思ったから俺が頼んだんだよ。実際、居て貰って良かっただろ?」
颯介が西原の代わりに説明すると、むつは確かにと呟いて頷いた。だが、冬四郎は納得出来ていないようだった。
「何かあったんですか?」
「そうですね…むっちゃんが閉じ込められたのと、気絶した社長を引きずってきたくらいですね」
ざっくりとした説明に冬四郎は、首を傾げて、むつの方を見た。だが、むつは説明する気ないようで、パソコンの画面を見ていた。
「これ…4画面ずつしか見れない?」
「そうだな。全部で幾つだっけ?客が入れる所と裏方の方とかなり台数あるみたいだがら…見るのはちょっと大変かもな」
くず湯をスプーンでかき混ぜながら、むつは昨日の18時からの防犯カメラの映像をじっと見ていた。




