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6話
むつはスプーンですくって、ちびちびとくず湯を飲んでいた。西原は祐斗の分のくず湯を持ってくると、むつの隣に座った。
「生姜のやつの方が良かったか?」
「生姜のだと辛いから嫌…もぅちょっと蜂蜜多くても良いかなって思うよ」
「はいはい、覚えておくよ」
「久しぶりに作って貰うと、何か美味しく感じる…ありがと」
むつはしばらく、ゆっくりとくず湯を飲んでいたが身体が温まってきたのか、ストールの前をはだけさせて肩にかけるだけにした。
「で、しろーちゃん。お待たせしました。連絡も遅くなってごめんなさい。お願いした物は手に入りましたか?」
棒読みのようにすらすらと言うと、冬四郎は鞄から茶封筒を出してむつに渡した。
「祐斗、そこの棚のパソコン取って」
パソコンをテーブルに置くと、むつは冬四郎から渡されたUSBを差し込んだ。
「で、何で西原君が一緒なんだ?それにむつ携帯は?」
「携帯は充電切れてた。先輩は…そう言えば、何で?あたしも、知らない」




