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6話
颯介の運転でむつのマンションに戻ると、すでに冬四郎は着いていた。不機嫌そうに、壁にもたれて腕を組んでいたがむつが元気なさげに歩いてくるのを見付けると、冬四郎はすぐに駆け寄った。
「どうした?」
「ちょっと寒気がする」
西原の上着を肩にかけているものの、まだ寒いのかむつの唇は紫色っぽくなっていた。
「風邪かもしれないですね」
「西原君は…何で一緒に?」
「まぁ立ち話もなんですから…とりあえず部屋に行きましょう」
「先輩の部屋みたいに言わないで」
むつが抗議したものの、元気のない声に冬四郎はさらに心配になった。だが、西原の言う通り、このまま外に居るわけにもいかない。
5人は、エレベータに乗り込むとむつの部屋に向かった。部屋に入ると、祐斗はいそいそとキッチンに向かい電気ポットに水を入れてお湯を沸かして始めた。
むつは西原に上着を返したものの、パーカーは脱ごうとせずにその上から大判のストールをかけた。




