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5話
西原から携帯を借りたむつは、冬四郎に電話をかけた。
『はい、宮前です』
「もしもし?しろーちゃん」
『にし…誰だ?むつ?』
「そうそう、あたし。あのね、今どこ?」
『今?お前に頼まれたの持ってよろず屋の前まで来てるけど、誰も居ないのか?鍵閉まってる』
むつは笑いを堪えるように、口を手でおおった。その反応を見て、颯介と祐斗は溜め息をついた。
「やっぱり?ごめんね、みんなここに居る…ねぇねぇしろーちゃんだけ?篠田さん居ないならうちに届けてくんない?今日はそっちに顔出す用事ないし」
『なら、家まで行くよ。けどなぁ早く言えよ。お前どこに居るんだよ?』
「ファミレス?すぐ帰るから。下で待ってて」
『む』
むつは一方的に言い、冬四郎が何かを言いかけているにも関わらず、通話終了を押して西原に返した。
「ありがと」
「ありがとうって…宮前さんから折り返しかかってきてるけど、どうすんだよ」
「ほっとけば?」




