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5話
西原も加え4人は、どこで食事をするかを悩んだあげくに結局、ファミレスに行く事にした。
むつはイカスミのスパゲティをスプーンを使いくるくると、フォークに巻き付け続けている。フォークにはしっかり、巻き付いているものの、むつは気付いていないようだった。視線は皿に向いていても、目に映っていないようだった。
颯介と祐斗はむつの向かい側に座っていて、むつのそんな様子を物珍しそうに眺めている。珍しいからといって、むつを気付かせてやろうとはしない。
「むつ」
「…へ?何?」
仕方なさそうに、西原がむつの手に取りくるくる回すのを止めさせた。
「何じゃない。何してんだよ…ずっと、くるくるしてるだけで、お前だけ全然減ってないぞ」
「あら…そう?…みたいね」
むつは、自分の皿の中身と颯介、祐斗、西原の皿を見て頷いた。フォークに巻き付けた、イカスミのスパゲティは、すでに冷めて塊になりつつある。




