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5話
「お手数お掛けしますって、他人行儀な言い方しないでくださいよね。こちらこそ、何ですからね」
「はいはい。じゃあ、休日にも関わらずご面倒をおかけしまして」
むつが丁寧に礼を述べようとすると、藤原が慌てて、それを遮った。
「だーかーらー、そう思うなら今度ラーメン奢ってくださいよ。俺、豚骨派なんすけどね」
「あたし味噌派だし。だから、あんたとはラーメン行きたくないのよ、豚骨嫌いだし」
「知ってます。ま、山上さんは僕が責任持ちますんで、ってもまだまだ未熟ですけど。とりあえず任せてください」
「おっけ、任せた。ま、ラーメンよりもつ鍋が良いかな?そろそろ寒いし」
「ですね。あ、帰る時もさっきの裏口使ってくださいね」
「うん、ありがと。じゃあ、あたしも上行ってくる」
むつが藤原に手を振ると、藤原も手を振り返した。




