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5話
颯介の穏やかな運転に安心しきっているのか、むつはふぁふぁと欠伸を繰り返している。西原同様、むつもかなり寝不足な様子だった。
「着くまで寝てて良いよ?」
「大丈夫…今夜は早く寝るから」
「むつさん、むつさん。本当に今夜も泊まって良いんですか?」
後部座席から、身を乗り出すようにして祐斗が言うとむつは、背中をドアの方に向けるように体勢をかえた。
「良いけど。着替え取りに行きなよ?洗濯はしてあげても良いけど、服は貸せないし」
「はーい」
「颯介さんはどうする?」
「祐斗君が泊まるなら、泊まろうかな?迷惑じゃなければ、だけど」
「なら…先輩拾って、ご飯行ったらとりあえず着替えを取りに解散ね。んで、またうちに集合で」
「今回の出張先は近いから楽で良いね」
「出張先、うち?」
むつは、くすくすと笑った。




