248/410
5話
むつの言った事が信じられなかったのか、颯介は劇場の裏に車を止めて、しばらく様子を見ると言った。だが、待っていても火災報知器も鳴らない。
「ほら、ね?」
「疑ってごめん。…で、今からは病院に戻って西原さんを拾う?」
「うん。ついでに社長の様子をみる」
「その後でご飯にしませんか?」
後部座席で祐斗が、くるくると鳴る腹を押さえながら提案すると、むつと颯介はそうだねと同意した。
「じゃあ、病院に向かおうか」
颯介は再びエンジンをかけると、ゆっくりと劇場から離れて山上の検査を任せている病院に向かった。




