242/410
5話
むつは足を組んで座り、颯介と祐斗の方を見ていた。だが、目には映っていないかのように、ぼんやりとしていた。
奥にあったドアの隙間から式神は、劇場内の裏側に入って行った。昨日とは違って、しっかりと電気がついている。だが、人の気配は全然しない。
広い劇場とは言えど、劇場のスタッフはもしかしたら、あまり多くはないのかもしれないと思った。それか、それぞれに作業をしているのか。
昨夜もどこをどう通ったのか、むつにはさっぱり分からなかった。また1つ1つ部屋を潰していくとなると、かなり時間がかかりそうだ。
むつは、げんなりとした気分になったが仕方ない。もうしばらく、ゆっくりと颯介と祐斗には資料を眺めておいて貰う事になるだろう。




