241/410
5話
むつは自信なさそうに言った。そして、端に設置されているソファーの方に向かっていくと、座った。背中に回していた鞄を前にすると、中から人形に切った紙を取り出した。
「何するつもりですか?」
「昼間っから裏側に忍び込むわけにいかないわよ。だから、代わりに行かせる」
「式神で探るつもり?」
ぺらぺらの紙を手のひらに乗せて、むつはふっと息を吹きかけて飛ばした。ひらひらと落ちていく紙は、床に届きそうになると芯が入ったのか、しっかりと足で着地をした。
見守っていた颯介と祐斗に方に、指のない手を突き出してみせると、ぱたぱたと走って行った。
「遊ばせないでよ」
「可愛いでしょ?しばらく…この辺で時間潰そうか。裏側の構造が分からないから、どのくらい時間かかるか分からないけど。折角だし、適当に見てきたら?」
むつは見る気がないのか、颯介と祐斗だけが展示されている資料を見て回っていた。




