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5話
「あら、そんな事?良いわよ。今日は観劇しないってなると…入場料だけがかかるけど良いかしら?」
「はい。じゃあ3人分で」
ほっとしたようにむつは言い、鞄から財布を出して3人分をまとめて支払った。そして、チケットを颯介と祐斗に渡して中に入って行った。
受付から離れると颯介がむつと隣に並んだ。
「あの人は?」
「昨日、説明をしてくれた人だよ。颯介さにヘルプの電話した時には…もう居なかったけど。普通に居たね」
「って事は…昨日遅くには帰ったのかな?」
「それか、あたしが裏側に入ってる間に…いや、それはないか。時間は普通に経ってたから」
「どういう事ですか?」
「人形らの結界内に居て、外と内に時差が生まれてたわけじゃない、よなって事」
むつは、とりあえず受付でも言ったように資料展示室に入って行った。颯介と祐斗も続いて入り、ぐるっと部屋の中を見回した。
「って事は、むつさんが出てった後に何事も無かったのように帰った、って事ですか?」
「そうなんじゃないかな…」




