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1話
むつは立って京井と話をしていた。するとそこに、冬四郎と晃が一緒に戻ってくるのが見えた。仲間外れにされたような気がして、むっとしたが冬四郎も少し難しい顔をしているのに気付くと、むつは少し首を傾げた。
篠田と西原が立ち上がり、むつを呼んでいる。むつは、京井に手を振ると4人の所に行き、すぐ隣にあるバーに入った。
バーと言ってもカウンター席だけではなく、丸いテーブルの席もソファー席もあった。
空いているお席に、と言われ奥に行こうとしていたが、むつはふいに横から引き寄せられよろめきながら立ち止まった。
「い、み、宮前さん?」
どうしたのかと、冬四郎たちが振り向くと、晃はむつの腰に手を回して引き止め、他の3人に向かって、しっしと手を振った。
むつが、ぎょっとして晃と冬四郎たちを交互に何度も見比べている。
篠田は少し驚いたような顔をしたが、頷くと冬四郎と西原と共に奥のソファー席に座った。
「いちにぃ?」
「しーっ、カウンターで良いか?」
むつは渋々、カウンター席に晃と並んで座った。むつはカシスビアを晃はウィスキーを注文した。