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5話
むつは冷蔵庫から野菜や卵を取り出して、朝食の準備に取り掛かろうとしていた。
「祐斗、西原さん。顔洗って来なさい。洗面所のカラーボックスにタオルあるから出して使って。ってか、先輩今日非番なの?」
「そう。じゃなかったら、泊まらない」
ようやく祐斗から解放された西原は、ほっとしたように笑っていた。
「なら、もぅ少し付き合ってね。祐斗、顔洗ってきたら、ご飯の支度手伝って」
「はーい」
祐斗は返事をすると、奥にある洗面所の方に向かっていった。颯介も、顔を洗ってくると言い、キッチンを後にした。
「で、俺は何を?」
颯介と入れ違いに、キッチンに入ってきた西原はコーヒーを飲みながら、換気扇を回してタバコを吸い始めた。
「社長、病院に運ぶ。一通り検査もさせたいし…面倒だけど付き添ってて貰える?その間に、劇場の様子見てくるよ」
「分かった。湯野さんたちは、お前と一緒に行くんだな?」
「うん。来て貰う…その方があたしも楽だし、ちょっと安心だし」
「それなら、山上さんに付き添っておくよ」
西原はマグカップを持って、リビングに行くとタバコを消して、洗面所の方に向かっていった。




