5話
ドアがノックされ返事も待たずに開けられると、颯介と祐斗が覗き込んでいた。
「あ、おは…寝坊しちゃった」
むつは、片手を上げて挨拶をした。だが、2人からの返事はない。ただ、西原に視線を向けているだけだった。
「西原さん…朝っぱらから何をしてるんですか?しかも、他にも人が居るのに」
どう見てもむつに乗しかかるような体勢の西原を、祐斗がじろっと見ていた。
「ちがっ…祐斗君‼誤解だから、むつが」
「んー布団に足が絡まってる」
西原が弁解しようとしているのに、むつはそんな事は気にせず、足をばたばたと動かして布団から出ようとしている。
「むつ、お前…ちょっと待て、ほら」
布団をどけてもらい、むつは這いずるように出てきて、ぺたんっと座った。まだ眠いのか、大きな欠伸をしている。
「おはよう、むっちゃん。悪いと思ったけど…キッチン借りたよ。むっちゃんと西原さんもコーヒー飲む?」
「あ、そんなの全然気にしないで。お客様なのに、ごめんね…コーヒーお願いします」
「お願いします」
颯介はくすくすと笑いながら、部屋から出ていった。祐斗だけが部屋に残り、仁王立ちして西原を睨んでいる。
むつはよく分からないが、そろそろと部屋を出て顔を洗いに洗面所に向かった。




