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5話
「…あ、宮前って聞いて宮前さんと兄弟かなって思ったりしたけど…お前とも兄弟なんだよな。何つーか、すっげえ兄貴たちだな」
「うん。怖くて悪い事出来ない」
むつが真顔でそう言うと、西原はようやく笑った。むつも少しだけ、ほっとしたような顔を見せた。
「他に質問は?」
「いや…今日はこれくらいで。これ以上何か聞いても、頭に入ってこなさそう」
そう言って西原は立ち上がると、むつの右隣に腰を下ろした。肩が触れるか触れないかの微妙な距離だった。
「それで、どう?変わる?接し方って言うか…付き合い方って言うか…」
不安げに 震えているむつの声を聞いて、西原は不謹慎かと思ったが口元に笑みを浮かべてしまった。
「変わらない…かな?お前に対してはな。けど、宮前さには…どうだろ?お前の兄貴だもんなぁ。俺らが付き合ってたの知ってるんだよな?」
「知ってる…別れた理由も知ってる」
「それはちょっと…あれだな。お兄さん方に悪い気がしてくるな。ってか、気まずい‼あー聞かなきゃ良かったかもって思う。けど、聞いて安心したような気もするし…難しい所ではある」




