220/410
5話
「賢いうえに観察力があって…付き合い長かった人ってやぁねぇ」
「過去形で言うな。今も付き合いはあんだからな…」
西原は何かをごにょごにょと付け足したが、むつには聞き取れなかった。
「知ったら、あたしとかしろーちゃんに対する態度変わったりしないでくれる?」
むつは、ぷーっと煙を吐き出すと、確実に消せるように灰皿を手に取り、タバコを揉み消した。
「約束、出来るか不安だな。付き合ってんのか?」
むつは首を横に振った。
「もっと…こう…複雑な関係かな?そうでもないかも…?ま、合鍵は持ってる。お互いに…兄弟だしね」
へっと口の端を片方だけ上げて、むつが笑うと西原は、口を開けたまま黙っていた。西原は首を振ると、気を取り直すように座り直した。
「兄弟?きょーだい?宮前さんとお前?兄弟って…宮前さんがお兄さんでお前が妹って事か?」
「まぁ年齢的にそうでしょ?逆じゃおっかしーわよ」




