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5話
「それで?何を聞きたいのかしら?答えられる範囲でお答えしますよ」
むつは、体育座りから足の間に尻を落とした座り方、あひる座りに直すと西原の方を見た。少しだけ困ったような顔をしている。
「そうだな。お前、言ったよな。さっき、何があったのかの話の時…身体の1部と交換に願いが叶った、って…叶ったって事はお前も…」
「話し方には気を付けたつもりだったんだけどな。そうよ、あの手紙に書かれた、せいりつってのはあたし宛。もう1通あるけど」
そう言うと、むつは鞄からもう1枚の封筒を取り出してローテーブルの上に投げるように置いた。
「本当に…そうなったわ」
「左目、見えてないのか?距離感が掴めてないし、飯作ってる時に左側から行ったら気付かなかったもんな」
「左目と左耳。本当に見えないし、聞こえない…だから、運転もお願いしたの」
ハイボールのグラスを両手で持つと、1口呑んでテーブルに戻したむつは、困ったように西原を見た。




