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5話
むつは冷凍庫から炭酸水を出して、ハイボールを作ると水を飲むようにごくごくと呑んだ。
「そんな呑み方するもんじゃないだろ」
「大丈夫、薄いから」
テーブルに置いてあった西原はタバコを1本取るとくわえて、またハイボールを作った。
「ったく…テーブルちょっと片付けて」
コンロの火でタバコに火をつけると、むつは自室に入り毛布を出してきて、祐斗にかけた。
「ちょっとお風呂入ってる間に、皆寝ちゃうなんて薄情すぎるんじゃないかしらね」
「2時間近く入ってたくせに」
むつは壁にかけてある時計を見て、おおっと言ってくすくす笑った。
「さっさと寝ないと」
「あ、またそーやって逃げる」
「流しに置いといてくれたら良いよ。明日、洗うからさ」
西原は両手にグラスを持ってキッチンに入ってきた。そして、ざぶざぶとグラスを洗っていく。
「あら、ありがとう」
「使ったものくらい、片付けるよ。人ん家にお邪魔してるわけだしな」
「良い心掛けですこと」
むつは、ぱーっと煙を吐き出しながら、西原が洗い物を終えるのを待っていた。




