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5話
むつは風呂から上がり、バスタオルを頭に巻いて出てきた。
「って…先輩と祐斗だけ?」
西原と祐斗だけがリビングに居たが、その祐斗もソファーに寝転がって口を開けて寝ている。
「邪魔者は少ない方が良いだろ?」
「颯介さんも寝ちゃったの?」
そうっと部屋のドアを開けて、むつが入っていくと颯介は布団に入っている。本当に寝ているのか、狸寝入りなのかの判断は出来なかった。
ついでのように、むつは山上の顔を見た。手をかざして呼吸を確かめ、首筋に指を当てて脈を確かめた。医者ではないから、何とも言えないが呼吸は少し浅いんじゃないかと、むつは思った。
布団の中に手を入れて、山上の右手に触れてみた。布団の中だというのに、ひんやりとしている。むつはクローゼットを開けると、毛布を取り出して布団の上からかけておいた。
そして、もう1度じっと山上の顔を見てからむつは静かに部屋から出ていった。




