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5話
この話は終わりとばかりに、むつは再び包丁を持った。そして、突っ立っている西原に鍋火にかけて温めるように言った。
「薄く油敷いたらこれ炒めて。しんなりしたらお水入れて、味付けは中華に。あと生姜多めでニンニク少しね」
「はい、はい、はい。仰せのままに」
解凍が終わると、ボウルにご飯を入れて刻んだ紫蘇と胡麻を入れて混ぜている。
「なぁ?」
「ん?」
「聞きたいって言ったら話してくれんのか?」
「何について聞きたいのかしら?…ね、それより火弱めないと煙出てるけど、大丈夫それ?」
しゃもじで鍋を指すと、西原は慌てて弱火にして野菜を入れて炒め始めた。
「…ちょっと焦がしたごめん。とりあえず今日の事、だな。俺に言わなくても宮前さんには話すのか?」
「話さない」
即答し、むつはどのくらい焦げたのかと鍋の中を覗き込んだ。米と一緒に解凍していた肉団子をジップロックから出して、ごろごろと鍋に入れた。
「それ以上、焦がしたら怒る」
「あ、はい…気を付けます」
「話すの、2人が寝てからね。…とにかく」




