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5話
3人は会話もなく、ただじっとむつからの連絡が入るのを待っていた。
どのくらい待っていただろうか、きぃぃっと金属の擦れるような音が聞こえた。続けて、ばたんっと大きな音も聞こえてきた。
「ドアが開いたんだ」
颯介と西原は頷き合うと、すぐに音がした方に走っていった。少し反応の遅れた祐斗が、あとから2人を追う。
「あれって…」
「むつか!?」
何処かの非常口から出てきたのか、自分より大きな男の脇に腕を通して、引きずるように歩いている姿が見えた。
「むっちゃんっ‼大丈夫?」
「あ…颯介さん、ごめん。電話出れる状況じゃなかったんだ」
気が抜けたのか、つまずいたのか、むつは転ぶように膝をついた。だが、その時も引きずってきた男が倒れないようにと、自身の身体を前に入れるようにして庇った。
「社長、捕獲。あと…お願い。重たいの」
「むつさーんっ‼」
「あ、祐斗も一緒なんだ」




