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4話
「喉乾いた、でしょ?」
「はー成る程。願いを叶える代わりにって事ね。けど…ペットボトル1本とあたしの身体交換ってなるとまぁ…高いペットボトルね」
むつが、ふんっと鼻を鳴らして言うと、禿の頭からくすくすと笑い声が聞こえた。
「少しずつ。他の願いは?」
「有り難いけど…これはいらないよ」
とんっとペットボトルを床に置いた。
「こっから出たら…呑みたい物あるし」
「男の人。探してる人」
むつの頬が痙攣したように、ぴくっと動いた。禿の頭をきゅっと睨んだ。
「もうすぐ、死ぬよ」
「なら、尚更…急いで探すよ」
「見付からなかったら?助けられなかったら?助けたい?」
出ていこうとしていたむつは、禿の声に立ち止まった。確かに、見付け出すのは難しいとむつは思っていた。ここはすでに、敵の懐の中だ。




