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4話
むつは困ったように、ふうっと溜め息をついた。そして、どうするべかと考えた。ここで、この頭を壊す事は簡単だ。だが、これ1体を壊した所で何の解決策もない。
「何が欲しいの?それを聞いておかないと…支払えないかな?」
「からだ」
「からだ…しんたい、の事かな?」
「自由に動ける身体。沢山仲間が居る、だから沢山身体が欲しい」
「あー遠慮する。何か…うん、適当に何とかするよ。探し物の途中だし、行くわ」
「探し物?」
「うん、知り合いがね。一緒に閉じ込められてるっぽいのよ…だから、その人探してこっから出るわ」
むつは、禿役をしていた頭の額を撫でるように触り、ひらひらと手を振った。
「…手遅れ、だとしたら?」
「それは…困るのかなぁ?ってか、誰を探してるか分かるの?」
むつが振り向いて聞くと、ごとんっと大きな音を立てて足元に何かが落ちてきた。身を屈めて拾うと、冷えたペットボトルの水だった。




