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4話
やはり、夢でもドッキリ企画でもないようだな、とむつは思った。嫌な感じがして、腕にびっしりと鳥肌が立つのが分かった。
「誰?…何が目的なの?」
むつは、ゆっくりと歩きながら室内を照した。白く塗られ、ぽってりと赤を塗った唇の頭が目の前に見えた。
何の物語に使われる物なのかは、分からないがむつはそれに近付くと、顔を寄せてじっと返事をしてくれるのを待った。
「その子は違う」
「…じゃあ、どの子かな?」
他の頭の前に行くと、顔を寄せた。だが、これも違う用で動きもしないし、返事もなかった。
「なまじっか色々な念のこもった物語を繰り返し演じさせられるうちに、意思を持っちゃったのかな?」
「そう。…けど、自由には動けない。傀儡は操られる事しか出来ない」
「だから、こその傀儡なんだけどね」




