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4話
むつは今、館内の何処に居るのかも分からないままに、ドアを開けていく。すると、明らかに今までとは違う部屋に出た。
着物が沢山、天井から吊り下げられていた。むつは部屋に入り、陰火で照らして着物を見ていく。人形用のものだ、と思った。先程見た、二人禿用か小さな物や地味な物にきらびやかな物から男物の少し古びた物もあった。
ようやく、何かに近付いたかな、と思うと気を引き締めた。着物の間をぬって歩いていくと、さらに奥に続くドアを見付けた。
むつは、躊躇う事なくそのドアを開けた。
ふわっと微かに木の香りがした。頭か人形でも置いてある部屋なのだろうか。むつは、ゆっくりと手を動かして青白い炎で室内を照した。
するとどこからか、かたんっと音がした。




