187/410
4話
ドアの反応はないが、外観の明かりはついたままになっている。やはりまだ、閉館の時間には早いのかもしれないという、期待が高まってきた。
外を行き交う人々も多い。むつは、硝子のドアをばんばんと叩いて誰かが気付かないか試してみた。
「すみませーんっ‼もーっ‼ちょっと‼」
ばんばんと力の限り叩き、大声で呼んでみるも誰も気付く事はない。まるで見えていないかのようだった。
「だーれも気付かねぇのかよ…怪異の懐の内なのかなぁ。喉乾いたし」
誰かが返事してくれるわけでもないのに、むつは声に出して言ってみた。余計にむなしく、寂しい気分になった。
そして、尻のポケットから携帯を出した。圏外にはなっていない。そして、まだ時刻は20時を少し過ぎた程度だった。




