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4話
何だか不思議な体験をしたような心地のむつは、再びのんびりと歩き出した。そして、1周したかな、と門をくぐって出るとそこは最初にくぐった門とは違っていた。
駐車場の場所が分からなくなったむつは、その後少しだけおろおろしながらも駐車場を探して歩いていた。
駐車場が見付かると、むつはほっとしたような表情になり、もうここには来たくないと思ったりしていた。
写経用紙を鞄にしまい、ヘルメットをかぶると次の場所。昨日も行った、人形浄瑠璃も行う劇場に向かう為にエンジンをかけた。
そして、ふとあの若い僧侶の意味ありげな、気を付けてを思い出していた。だからなのか、急ぐ事もせずに制限速度はしっかりと、守ってバイクを走らせた。
 




