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4話
先に出たむつは、バイクを押して入り口の前で西原を待っていた。
「お前…バイクか」
「うん。移動多いしね、あっそうそう」
むつは鞄の中から、先程行ってきた洞窟の売店で買った饅頭の箱を西原に渡した。
「お土産」
「お?ありがと…って、ここあれだろ?自殺の名所…こんな所行ってたのか」
「あーやっぱ?成る程、だからか。で、乗ってく?署までなら、かなり近いけど」
「そうだな。楽しようかな…俺が運転する」
むつはヘルメットを渡して、大人しく後ろに座った。西原に持ってろ、と饅頭の箱を渡された。
「先輩のケツに乗るの久々」
「だな。俺が依頼した時には…運転はしたけどむつは乗ってなかったからな。軽かったな」
運転席に座った西原の背中をさっきの食堂の女性のように、ばしんっとむつは叩いた。




