165/410
4話
「公務員のくせにバイト?禁止でしょ?…けど、しろーちゃんと颯介さんにはうちに来たら良いって言って貰ってるから」
「ふーん?なら、俺も立候補しとこ」
「選択肢が増えて嬉しいわ…っと、そろそろ出ようか。先輩も戻らないとでしょ?」
「そうだな」
伝票を取ろうとすると、引ったくるように西原が取った。
「お会計別々にしてよ」
「はー?出すよ」
「なら、あたしが出す。経費で落としても良いし」
「それは、問題有りだろ?」
むつと西原が、お互い譲らないでいると、食事を持ってきてくれた大柄な女性が、ばしんっとむつの背中を叩いた。
「あんた、としちゃんに出して貰っときな。どーせ、女っ気ない可哀想な子なんだから、たまには良いじゃないの」
「いや、おばちゃん…失礼な」
西原は苦笑いを浮かべながら、伝票を持ってレジに向かっていった。むつは、じんじんと痛む背中をさすりながら鞄をかけて、ご馳走さまと声をかけて先に出た。




