164/410
4話
とんとんっと灰を落として、西原は眉間にシワを寄せている。むつも同じ様に、眉間にシワを寄せていた。
「んー?さっぱり分からん。お前、自分でもよく分かってないんだろ?」
「うん。だから、話をしてる…後ろ姿さえ見れなかった不審者も偽物も、人じゃないのかもって思ったりしてる」
むつは濃いお茶を飲むと、鞄からタバコを出して吸い始めた。西原も何も思い付かないのか、タバコの煙をじっと見ていた。
「分からない事が多すぎる」
「だろうな…手引いた方がよくないか?」
「引いたら、社長の不倫疑惑が消えない。…さて、どうしたら良いものか。時に先輩、今夜は仕事?」
「いや、今日は夜には終わる。何でだ?不審者が出たからボディーガードにでも雇いたくなったか?」
からかうように西原が言うと、むつは力なく笑った。そして、かもね、と言い溜め息と一緒に煙を吐き出した。




